不動産の現場から見た農業

不動産業というのは、

「宅地建物取引業」というカテゴライズされたものになります。

これ、いわゆる宅地の取引をする業者という意味であり、

農地の取引はできません。

では農地の取引は誰がするのか?

これは、各市町村の農業委員会が行います。

農地法という法律に守られている既得権益になるため、

農業従事者は保護されているためということになるのですが…

現実には農業従事者を縛り付ける法律となっております。

士農工商という身分制度を現代社会で実現させるための法律が、

農地法です。

農業従事者は税制的に大きく保護されていますが、

農業従事者でない場合は、農地は買えず、農業はできません。

さて、現代社会において農家の子孫は農業を継承する人は稀です。

誰も農業などしません。

そのため、地方の田んぼの所有者が東京などの都会に住んでいたりします。

これ、どうやって農業をするのですか?

農地法では、数百キロの新幹線移動の末、

農業をしなさいというような馬鹿げた内容になります。

そのために相続税もかからないでしょ?

ということですが、現実にそのようなことは可能でしょうか?

「いやあ地方で農業をしている人に農地をあげればいいんですよ」

農地ならね。

農地を持っている人ですら、

なかなか人に土地をあげたりしないのに、

農地を持つ人はほとんどの場合、山の土地ももっています。

山の土地など誰も欲しがりませんし、国土調査にも立ち会いませんので、

どんどん「筆界未定」という

「どこが誰のものかわからない」状態になっています。

これ、人にあげるにせよ、筆界を確定させなければなりませんが、

そのための費用は数百万円から数千万円かかります。

「ばかみたい」

ですよね。

これ、すべて農地法が生み出している問題なのです。

しかも今現在地方で農業に従事されている人のほとんどは、

高齢者なので後継者がいません。

農地法は新規参入者に高いハードルを設けているため、

都会で農業をしたい若者に開かれる門戸はありません。

農業をしたい人は参入できず、

農業をしたくない人を農業に縛り付ける悪法。

つまりこの国の食糧生産は、あと20年ほどで破綻しますが、

その原因はすべて農地法が作り出しています。

これは基本的にこの国では、

農業が儲からない仕組みを作り出しているからなのです。

本来農業は儲かります。

世界一の経済力を待つアメリカの主力輸出品は農産物です。

日本では、かつての農協、今のJAで種や肥料、

出荷場などで搾取する仕組みがあるため、

あるいは、どんどんローンを組んで新しい農機を買わせる仕組み。

そのようなもので農業を儲からなくしてしまった国の制度があり、

これが今に続く士農工商なのです。

一般的に破綻するシステムの機能は、徐々に崩壊しますが、

閾値に到達すると、ある日突然すべてが機能を失います。

日本の農業は、早急に農地法の改正を行わないと、

ある日突然消滅します。

その結果末受けているのは、

「農業?だっせぇ」

と言っている人々の住む都会で発生する飢餓でしょう。

農地法の問題は、今すぐそこにある危機なのですが、

誰も議論しない問題なのです。