災害石碑

災害石碑というものがあります。

次回の本のテーマで研究しているのですが、

災害があった場所に後世に伝えるために、

先人が設置した石碑です。

地震や、津波、土砂災害についてのものが多いのですが、

河川反乱のものも多く見受けられます。

これらの石碑で、

災害復旧に国家が手動で慰霊公園などを設置した場合は、

大きくて立派な石碑が置かれていますが、

通常は小さな目立たないものだったりします。

これは実際の被災者が、

災害復旧をしながらギリギリの状態で、

後世のために残した石碑なので、

立派なものは作れなかったのかも知れません。

それに対し、

「◯年〇〇はこの土地の開拓に…」

いわゆる「俺ってすごいだろ」的な石碑は大きく立派です。

悲しいのは、

本当に大切なものは目立たなく、みすぼらしいので

誰も見向きもしません。

しかし、3.11の東日本大震災において、

仙台市には、

「ここまで津波が押し寄せる」

という位置に、きちんと石碑があったのです。

石碑の碑文にはいろいろなものがありますが、

殆どが「ここより海側に家を建てるな」というものでした。

つまり、警告はあったのです。

しかし、前述のとおり、

あまりに目立たないみすぼらしい石碑ですので、

誰にも見向きもされていませんでした。

石碑が顧みられていたら、

犠牲者の数はもっと少なかったのだと思います。

この様な津波石碑は、

太平洋に面する土地には必ずあります。

太平洋沿岸は、巨大津波が発生しやすいのです。

津波が成長するためには、ある程度の海の広さが必要です。

瀬戸内海に面する土地の津波記録は最大で、

3メートルほどの津波の記録があるそうですが、

石碑は多くありません。

日本海側には相当数ありますが、

圧倒的に太平洋側に多く見られるのです。

有名なのは、岩手県宮古市の浄土ヶ浜にある津波石碑でしょう。

「地震があれば津波の用心」

という石碑の隣に、

「地震がなくとも津波は来る」

という2つの石碑が並んでいます。

「どっちなんだ?」

これ両方とも正しいのです。

このエリアは三陸の地震の巣に位置します。

地震の際には必ずと行っていいぐらい津波に襲われています。

これについて「逃げよ」という警告。

さらには、

南米のチリや、

アメリカのカリフォルニア等の地震の巣から海を隔てて、

この地域には遮るものがなく、

それらの地域で発生した巨大地震の津波が、

かなりの頻度で押し寄せるのです。

つまり、

「地震はなくても津波は来る」のです。

この地域の伝承には、

「海の水が消え、魚がはねていたら、魚を取らずに逃げよ」

というような内容のものが、かなりあるようです。

これは、

「地震はないけれど津波の前兆ですよ」

と言う意味です。

ときには、

目立たない石碑を見てみるのもいいかも知れません。

先人が後世に伝えたいなにかが、

書かれているのかも知れません。