相続登記の義務化

相続登記が義務化されそうです。

以前このブログで書きましたが、

所有者不明の土地の問題について、

国は頭を抱えていますが、

この問題が顕在化した原因は、

登記法の不備にあります。

しかし、登記法による登記を完全に義務化した場合、

一番困るのは国です。

実際に日本において、

未登記の土地を一番たくさん持っているのは政府です。

ですから登記を法的に義務化してしまうということは、

自分で自分の首を絞めるという結果になります。

そこで、

ずるいと言うか賢いと言うか、

相続した場合においてのみ義務化してしまえば、

国は未登記の土地を放置できることになります。

この法律は、おそらくそこから出てきたものです。

近々国会で審議され法律として成立すると思います。

当然義務化ですので、

罰則規定が設けられることになり、

そうなるとまず考えられる問題は農地の相続になります。

都会に出て行ってそこで今日構え、

そこで一生を終えることを決めた、

農業従事者の子孫にとっては、

農地など重荷でしかありません。

それを所有者をはっきりしなさい、

きちんと農業を継承しなさい、

これは農地法の定める現実です。

ただこの問題について民間で手を出すことは出来ません。

我々不動産業者は、

宅地建物取引業であり宅地の取引を行う業者です。

つまり農地は、

我々宅地建物取引業者の取り扱う土地としては、

グレーゾーンになります。

つまり農地を農地として売却するということは、

厳密に言うと宅地建物取引業者ではできません。

これらすべて市町村にある農業委員会の仕事となります。

土地には宅地にしていい土地になる場所と、

農地でしか活用できない場所があります。

農地でしか活用できない土地については、

全て農業委員会のあっせんになります。

巨大な権益です。

それほどの権益を農業委員会という市町村の組織に、

持たせるというのはどうなのかという議論もありますが、

これが問題にならないのは、

都市圏に住む日本の70%の人には、

全く関係がないからです。

本来この国の農業政策の基礎は、

小作人制度の維持にあります。

つまり、

「農業従事者は農業従事者のままでいなさい、

その代わり税金をあまり払わなくていいようにしてあげます」

というものです。

ただそこをストレートに表現できないのは、

憲法における職業選択の自由に抵触するからです。

ですから相続登記を義務化し、

農地の持ち主を明確化することにおいて農業委員会は、

交渉しやすくし、

農業放棄地をなくし、

大規模農家を促進させるという 、

GHQ の行った小作人改革によって歪んでしまった日本の農政を

適正な方向に戻すと言った効果を狙っているものと思われます。

所有権を放棄して国に寄贈するというのは、

法的には方法ありますが成立したのを見たことがありません。

現行法においては、

「所有権を放棄しても管理責任は消滅しない」

ため、放棄しても

「どうにもならない土地」

にしかなりません。

気をつけましょう。