不思議な不思議な経営分析

「〇〇社の業績、下方修正」と言う記事をよく見かけます。

経済系の新聞や雑誌の見出しです。

不思議なことに必ず、

「原因は既存店の収益悪化と出店計画の遅れ」

と言う理由が書いてあります。

日本は島国なので、

市場規模の拡大については制約があります。

47都道府県でも現実には県庁所在地以外は、

ビジネスとして成り立たない土地がたくさんあります。

出店し続ける事ができる場合は、

常に会社の売上は右肩上がりで上昇していきます。

ただし、

出店自体は、銀行からの借り入れで、

出店攻勢をかけるときには、返済を行っておりませんので、

出店場所がなくなると同時に、

銀行返済が重くのしかかり、一気に財務状況が悪化するのが、

「〇〇社の業績、下方修正」

の実態なのですが、

これを我々コンサルタントの世界では、

「タコの足食い」

といいます。

「足を食う=足がなくなる」=「出店場所が亡くなる=潰れる」

と言うメカニズムで、

東京や大阪などの大都市で流行る商売にこの傾向があります。

大都市は市場規模が大きいので、

1000人に一人が対象の商売でも儲かります。

東京を例にすると、

2000万人都民がいますので、

1000人に一人というマニアックな商売でも、

最低限顧客が2万人存在する計算になります。

これを地方都市で考えると、

広島市で100万人ですので千人しか対象となりません。

鳥取市では19万人ですので190人しか顧客対象者はいません。

地方ですので出店費用の内、

賃貸関係の費用は、それなりに下がりますが、

工事費は、ほとんど同じです。

しかし、売上の規模はどんどん下がります。

その頃にはすでに、一気に数店の展開となり

「人材」という資産が補給しきれず、

サービスはどんどん低下していきます。

全国展開して一気に潰れる商売って結構思い当たるでしょう?

実態は、こういうメカニズムなんですが、

このことを、どんな新聞も、

どんなコンサルタントも説明しません。

なぜでしょう?

戦略的に、出店攻勢は「攻撃」であり、

出店が止まるときは「守備」です。

この攻守の逆転は一気に起きますが、

攻め急いでいる経営者は、周囲の言うことを聞きません。

破滅まで一気にいきます。

「言ってもしょうがないので言わない」

これが本当のところですが、

この部分のコントロールの出来る人だけが、

生き残るんです。

無限に伸びるビジネスなどありません。