「登記は対抗要件である」ってわかりませんよね

「登記は対抗要件である」これ宅地建物取引士の試験において、民法上の概念を説明するのによく使われます。

ただし、

これ一般の人にはわかりにくいし、

単なる法律上の概念であって、

現実にはありえない考え方だったりします。

例えば…

「AさんはBさんに土地を売る契約をしました。

BさんはAさんに代金を支払わずにCさんに転売しました。

Cさんは、購入後、購入した土地を登記しました。

AさんはBさんが代金を支払わないので契約を解除しました。

Aさんは土地をCさんから取り戻せるか?」

というような前提条件では、

「善意無過失のCさんは対抗要件である登記を備えた時点で、

AさんはCさんに勝てないためAさんは土地を取り返せない」

となります。

これを宅建士の人たちは

「登記は対抗要件である」

と言うんですが、

これ机上の空論なんです。

なぜ?

登記できません。

一般的に司法書士は、

「決済未了」

の登記は行いません。

仮登記はありうるんですが、

仮登記は簡単に取り消せるんで登記できないんです。

つまり現実には、

「登記はありえないため、Aさんの権利は保護される」

が正しいのですが法律家というのは、

どうもこういう条件遊びがお好きなようで、

こういう「論理おもちゃ」で遊ぶ傾向があります。

「本人申請できるだろうが」

できますね。

ただし、

「売買による所有権の移転の登記の申請書には,原則として,AB間の登記原因証明情報(売買契約書,契約書がない場合には,契約の当事者,日時,対象物件のほか,売買契約の存在と当該売買契約に基づき所有権が移転したことを売主が確認した書面 ,売主Aの ) 印鑑証明書(作成から3か月以内のもの)と登記識別情報又は登記済証(いわゆる権利証 ,買主Bの住民票の写しなどを添付しなけ )ればなりませんので,申請書を作成すると同時にこれらの書類を準備する必要が
あります」(法務局申請要項抜粋)

これ、

読んでわかる通り、

ほとんどすべての書類を偽造しなければなりませんし、

登記識別情報については、偽造は不可能です。

さらに、法務局の担当官が少しでもあやしいと思ったときは、

元の持ち主に連絡しますので、

他人の土地を勝手に自分のものにするのは、

ほぼ不可能だと思ってください。

これ未登記の建物も同じです。

ですから、

宅建免許をとったばかりの人がお客様に、

「登記は対抗要件なんです」

などと説明しているのを見ますが、

必要なのかな?

とか思ってしまいます。

確かにお客様から、

「登記って絶対必要なんですか?」

とよく聞かれます。

そこで「対抗要件云々」となるわけなんですが、

自分は、

「登記しないというのはスーパーの棚にあるお菓子を

お金だけ払って帰るようなものです。

その後他の人がそのお菓子を買って帰っても

あれは自分のだ、と証明できますか?」

と説明します。

まあ、宅建士の試験内容にはこういう、

「法律の論理解釈の遊び」

のようなものが多くあります。

それはそれでいいのですが、

こういう試験で宅建士になった人が、

実務を行うと、

「ひえー」

となります。

セリフはかっこいいんですけどね。

これ弁護士とか司法書士の試験も同じなんだそうです。

現実にありえないことが試験に出る、

この国の資格制度は大丈夫なんでしょうか?