家に吹き込む風を防ぐ
先日リフォームのご相談で、
「家に吹き込む風をどうにかして欲しい」
とのご依頼をいただきました。
築50年以上の在来工法の平屋です。
床下は布基礎です。
家は池のそばにあり常に冷たい風にあたる場所です。
これ、
考える間もなく、
「防風壁を作るしか方法はありません」
とお答えさせていただきました。
お客様はどうもその答えが気に入らない様子で、
「家のリフォームでなんとかなりませんか?」
とお尋ねになりました。
質の悪い業者の場合、
「二重サッシにしましょう」
という答えになると思います。
しかし、
サッシだけ変えても家自体が気密性に欠けるので、
意味がないんです。
築50年の在来工法の家は気密性が殆どありません。
つまり防音断熱については基本的にないに等しい住宅です。
本来日本の家は夏住宅で、
「夏涼しく冬寒い」
というのが基本です。
池からの冷たい風も、
夏の快適さのためと考えると不思議ではありません。
冬は寒けれがこたつに入ればいいのです。
ただし、
高齢になると、
暑い寒いの感覚がずれることがあり、
そのため夏の暑さを寒いと勘違いして、
熱中症で亡くなるという事故が起きたりします。
つまり、
高齢者の住宅の場合、
暖房を付加させることそのものが、
命を奪う危険をはらみます。
手に負えない質問です。
簡単な答えは、
最初の通りの防風壁ということになります。
これは最良の答えではありません。
最良の答えは、
「防風林を作る」
ということになります。
なぜなら、
人工的な壁を作ると、
「いい塩梅」(いいあんばい)
がなくなります。
木を植えると、
程よく風を制御してくれるので環境は良くなりますが、
防風壁ですと、完全に風を止めますので蒸し暑くなります。
「防風壁のある方向だけだろ?」
これが違うんです。
風というのは入口と出口が必要なので、
入り口を止めると風は入りませんが、
同時に出口もなくなってしまうことになるので、
どこからも風が入らなくなるということで、
夏この家に住む人は、
熱中症になりやすいということになります。
本来建て替えるべきなのです。
リフォームでどうにかなる問題ではありません。
これ受けるかどうかで業者の良心が問われる問題です。
不動産工房ゆくはしでは引き受けません。
「答えのない答えは答えられない」
ということに付きます。