民法改正について

民法改正について思うところがあって書いています。

2020年4月1日より新民法となりますが、

この民法、舐めると大変なことになるので、

おさらいと覚書を兼ねて書いてみたいと思います。

当然、宅地建物取引業に対する影響ですが、

その前に日本と、

賠償法の先進国であるアメリカとの法体制の比較をしてみます。

まずアメリカという国家には、

法的に「弱者保護」の精神がありません。

日本は、日本国民の何らかの弱者を手厚く保護します。

また、国民が失敗をし困らないようにきちんと法整備をします。

半面、法制度を悪用して国家に悪たかりして生きる人が見られます。

日本人の意識も、

「失敗は恥」「失敗者は許さない」「失敗は死を持って償う」

ということで、社会においても学校においても家庭においても

失敗者を許す環境がありません。

その結果、世界一の自殺大国になりました。

一方のアメリカは、そもそも「失敗者が作った国」ですので、

失敗者でも成功するために頑張る人を立派な人と考えます。

何度でも立ち上がる人を尊敬します。

さらに国民にすべての権利を認めるので、

失敗する権利も成功する権利もあり、

落ちぶれてのたれ死ぬ権利もあります。

アメリカでは、大統領も国民も平等ですので、身分制度はありません。

話を戻すと、アメリカでは、家を貸す人と借りる人の身分の差はありません。

日本のように、「借りる人は弱い人だから守ろうね」という概念はなく、

借家法のようないびつな法律はありません。

この法律、厳密には憲法違反の疑いがあるんですけどね。

借家人=弱者=正義

貸主=強者=悪

これ差別ですよね?

東京のマンションを月額120万円の家賃で借りる人は社会弱者ですか?

自分はそうは思いません。

しかし日本では借家人は保護されるんです。

アメリカという国は、合理的でないものを嫌います。

「変な法律を作って、次の火種を作るな」

これが全てです。

ですから非常に法律の数が少ない。

シンプルなんです。

一方の日本は複雑に権利関係の入り組んだ法体系を持ち、

全体的にいびつな法の構造になっています。

ここで賠償法を施行すれば大変なことになります。

推測ですが4月1日以降裁判だらけになると思います。

例を挙げると、アメリカで6畳程度のオフィスを借りると、

およそ300ページ近い契約書が必要です。

当然このような契約書は弁護士しか作れないので、

契約行為は必然弁護士が行います。

不動産業者は…オフィス以外の賃貸は基本扱いません。

手数料商売で300ページの契約書など作れません。

しかし賠償法の下ではこの程度の契約書がないと身を守れないのです。

つまり、

新民法化で、現在の延長線上の契約書で、

へらへらと賃貸契約を続けると、不動産会社は軽く飛びます。

つまり厄介すぎて、賃貸は手に負えなくなります。

実際アメリカでは、賃貸住宅は個人間取引です。

家賃を払わなければ追い出される。

家賃を払えば済み続けられる。

それだけで借家法などありません。

日本は家賃の不払いでも簡単に追い出せませんので、

家賃の取り立てが発生しますが、

これには裁判所などの手続きが必要となり、

手続きが煩雑でどうにもなりません。

しかし借家法のおかげで

とりあえず家賃は払わなくても住み続けられるので、

家の故障とかは家主に請求でき、家主はそれを補修しないと告訴されます。

なんともひどい状況になります。

不動産工房ゆくはしでは、

2年前から2020年4月1日の民法改正に向けた準備をしてきました。

それでもその方法を他社に教えることはできません。

不動産工房ゆくはしの判断が正しいかどうかわからないからです。

おそらく皆さんが考えているより大変なことになると思います。