登記法の盲点2所有者不明の土地
ここで言う登記法というのは、「不動産登記法」のことです。
不動産登記法という法律は比較的新しい法律で、
平成16年に制定され、
平成17年に一部改正されています。
これもともと明治時代に作られた、
「登記法」
を廃止し、
新たに作られたんですが…
何故かとんでもないミスを犯してしまっていて、
それがために今現在政府が追い詰められています。
「あ、あほや…」
ですよね。
問題点を簡単に言うと、
これ、「権利」なんです。
法の目的は、
自分の財産を保護するための所有権の主張です。
ただし、権利ですので行使するしないは国民の自由です。
だからお金がかかるので登記しないことになります。
以前書いたとおり、
土地の未登記というのは原則ありえないんですが、
相続登記未了は無茶苦茶な数になります。
実際の相続の現場では、
およそ90%の人が相続税の対象にはなりません。
つまり、
相続手続きをしなくても、あまり問題は起きません。
自治体も固定資産税等は、
居住者に対して送れば事足りるので問題になりません。
居住していなければ、
保険や銀行預金の受取人に請求すればいいのです。
ところが前回書いたとおり、
農地法というとんでもない法律を作ったために、
農地は、どんどん相続されていきます。
東京にいる孫が農地を相続した場合、
九州にまで来て、
100坪かそこらの田んぼに稲を植えるんでしょうか?
冗談はやめてください。
売らないとどうにもなりませんが、
「あー、農地なので所有者が移動する場合は、
申請してくださいね。
農業従事者に寄贈するあるいは売却する場合は、
3条申請ですね。
農地転用は5条申請ですが、
その土地は農業振興地域なので転用できませんねえ」
これ登記費用払って登記します?
こういう土地を相続したいですか?
「近隣の農業従事者に寄贈しますか?
この頃あまり皆さん農地を引き受けてもらえないんですよね。
まあ探してあげますけど、
まず、相続人全員の判子が必要で、
あー、これ筆界が未定になっているので、
筆界を確定してくださいね」
筆界確定は、
費用でいうと最も安くやっても50万円以上かかります。
所有者全員というのは、
司法書士でも調査しきれない場合が多く、
基本裁判所にその都度、
「不在者財産管理人」
を専任してもらいます。
この費用は…
ほーら、
どんどん底なし沼のようになってきたでしょ?
だから誰も登記しなくなるんです。
これ、
「所有者不明の土地問題」
と言われるもので、
政府が緊急に法整備を行おうとしているものなんですが、
実は、
たった一つの法律を改正するだけで終わる問題だったりします。
それも一文を加えるだけです。
それは登記法の改正です。
「登記は義務であり、過去に遡及する。
登記しないものは罰金もしくは禁錮」
これだけです。
こんな簡単なことを国は、なぜしないんでしょう?
これをやると国が大変なことになるからです。
実際、日本で一番未登記の土地を持つのは行政です。
登記されていない国道などいくらでもあるし、
「内務省」「建設省」
などもはや存在しない官庁所有の土地などいくらでもあります。
(国の相続未了ですな)
更にとんでもないことに、
「登記変更忘れ」
の土地、
これ、道路拡張などで行政が収容した土地を
行政の担当者が登記変更を忘れていたり、
その土地に担保がついていたりすることがかなりあるんです。
不動産の仕事をしていると、
道路に昔の担保がついているのをたまに見かけます。
法的には所有者は差し押さえできるんですけどね。
こんなの放置しておいて、
「所有者不明の土地…」
解決するわけ無いでしょう?
もう一回やります。