遺留分について戦えます!
「遺留分について戦えます!」
とある、信託セミナー講師のセリフです。
この民事信託組織、全国展開をしていて
全国的にかなりの会員数を誇っているのですが、
自分が不勉強なだけかもしれませんが、
「遺留分侵害額請求」
を拒否した事例が裁判で有効になったことは過去ないと思います。
そもそも「遺留分侵害額請求」については、
「拒否」の概念が存在しません。
つまり信託契約というのは、
あくまで「民事上の」すなわち個人間での契約であり、
法律の範囲を超えることはできません。
いかなる信託契約を作成しようとも、
国法を犯すことはできないのです。
つまりこの講師のいう、
「遺留分について戦えます」
というのは、
「戦いたければ戦えばいいけど裁判にすらならんよ」
ということになり、「時間の無駄」です。
士業の資格持ちの方がこのような「詐欺」的発言を堂々とする、
これってどうなんでしょうね。
しかもこの方、
「信託契約は永遠につなぐ事が出来ます」
法的には確かにそうなのですが、
そもそも存在しない未来の孫に相続させることが可能なのでしょうか?
これも非常に問題があり、
法的には可能ですが、現実的には無効です。
何故なら相続が発生する未来のどこかの時点で、
拒否することが可能だからです。
さらに孫が存在しない場合など、
契約そのものの履行が不可能な場面が想定されるからです。
つまり、
常識的に信託契約とは30年程度が宜しく、
「法的にな可能だからどんどん行きましょう!」
「遺留分は無視しても構いません」
その発言、専門家としてどうなの?
という感じですが、
なんとこの民事信託組織、我々不動産業界にかなり食い込んでいて、
この民事信託組織の意見で動いている業者がかなりいます。
冷たいようですが、
不勉強な不動産業者は淘汰されるべきですので、
仕方ありませんが、
「裁判所に拒否される契約」をお客様に勧めれば、
当然信用を無くします。
困ったものですが、
本来宅地建物取引業というのは、
業法そのものが民法の一部ですので法律に詳しくないといけません。
その法律に詳しいはずの宅建業者が騙される、
これもどうにかならんかなのですが、
宅建の試験自体が、法律の理解を求めるものではなく、
出題者のいじわるや嫌がらせをかいくぐるテクニックの試験ですので、
仕方がないのかもしれません。
これはこの国の抱える病的な部分だと思います。