この土地売れませんか?

「親から相続した土地を売りたい」

という相談をいただきました。

資料を拝見すると地目は原野です。

売却可能な土地なのですが、

接道がぼなく、かつ、ものすごくひどい変形地で、

300坪ほどの土地です。

「固定資産税評価額程度で売れないでしょうか?」

というご希望ですが、

このエリアでの土地の売り買いは、

実績で坪4万円程度なので、

本来なら決して無理な数字ではありません。

けれど現実にはおそらく、

200万円程度でしか売れないと思います。

家を建てるためには整地が必要ですし、

土地の形があまりに変形しているので、

ソーラにしても、

ものすごく無駄になります。

「つまり売れたら奇跡」

というレベルの土地ですが、

お客様は相続なので、

「妹が売れたらお金は分けてくれと言っている」

と言われます。

この場合、

アドバイスをしたくなくてもせざるを得ないのですが、

アドバイスさせて頂きますと、

「売れたらお金をください」

と言うのであれば、

最初から自分で相続すれば良いのです。

この土地は相続した人が地獄を見る。

単純にそういう性質の土地なので、

「相続はお兄ちゃん」

「固定資産税払ってね」

「売れたらお金ちょうだいね」

そんな虫のいい話はないと思います。

100万円でも売れる可能性があれば、

売らなければいけない土地なので、

そんな値段で売れば不動産手数料や、

経費を払ってしまえば何も残りません。

その方の妹さんの常識を疑います。

こうやって文章に書くと、

「なんてひどい妹だ」

そう思われるかもしれませんが、

我々が日常関わる相続の話において、

これはごく当たり前の普通の兄弟の会話でもあります。

兄弟の中にずるい人が一人いればこうなります。

兄弟というのは面白いもので、

一番上は比較的優しいのですが、

下に行くほどわがままで、

自分のことしか考えなくなる傾向があり、

得てして人のいいお兄さんお姉さんが、

相続の場面で損をすることが多いのです。

法的に考えると、

遺産分割協議が終わり、

それぞれの相続が終わった時点で、

財産は相続した人のものですので、

その処分する権利と成果(お金)を得る権利は、

相続した人のもので、

兄弟であっても他人なので、

他人の財産については何もできなません。

特にこういうずるい兄弟は無視すればいいのですが、

一見して人の良さそうな方なので、

おそらく妹に負けるでしょう。

相続というのは、

もらっていいものもありますが、

もらうと困るものも多いのです。

これについては誰かが貧乏くじを引くしかないのですが、

この間博多で出た案件は、

相続人全員が相続放棄をしたため、

裁判所が困り果てている。

というものでした。

資産と呼ばるものはほとんどなく、

借金があったため相続放棄は仕方ないのですが、

資産のほとんどが「骨董品」だったのです。

借金がありますので、

この骨董品は、

債権者のものですが、

これ誰もいりません。

高く売れればいいのですが、

おそらくゴミです。

差し押さえても経費も出ないし、

処分するにもお金がかかります。

相続はいい面ばかりではありません。