普通借家契約と定期借家契約、どっちがお得なの?
3月の引越や転勤、新入生、新社会人でお部屋探しを始めた人へ。
賃貸契約は大きく分けて2種類ある。
①普通借家契約
②定期借家契約
土地と家は考え方がちょっと違うので、今回は「家」だけの話。
2つの契約の違いは?
殆どの賃貸契約は、「普通借家契約」でどちらかと言うと特殊なのが「定期借家契約」
その違いは何か?
大きな違いは、一つ。
それは、「期間」が決まっていること。
期間とは、「契約期間」のことなんだけど、普通のお部屋探しの時、「契約期間」という項目がある。
一番多いのは、この契約期間は「2年間」で「更新手数料あり」or「更新手数料なし」と書いてある。
この「更新」が出来るのが「普通借家契約」(一般借家契約とも言う)
例えば「平成30年12月15日~平成32年12月14日」までの2年間の契約で家を借りる契約をする。
その時、重要事項の説明の欄に「更新」について書いてある。
昨日書いた「保証会社の話」にも更新について少し書いたけど、更新というのは新規の契約ではなく、今の契約を継続するかどうかを選ぶことが出来るもの。
これはかなり古い(平成のものだし・・・)重要事項説明書だけど、しっかり「一般借家契約では更新することができます」と書いてある。
だから今は、令和4年だけど、この契約は有効で更新されている。
ちなみに更新手数料はかからない契約。
そして、但し書きで「貸主の更新拒絶に正当事由があるときは更新できません」と書いてある。
この「更新拒絶の正当事由」というのは、
「断るならそれなりに納得出来る理由が必要だよ」ということ。
更新出来る、出来ないの違い
「定期借家契約」には、「更新」がないの。
さっきの例をあげると
契約期間が 「平成30年12月15日~平成32年12月14日」までの2年間の契約で家を借りる契約をする。
この場合、平成32年12月14日 で契約は終了~。
次に平成32年12月15日から同じところを借りるためには、もう一度契約をしなければならない。
これが「定期借家契約」
更新に関する事項には、
「定期借家契約は更新のない借家契約のため、期間満了により終了します。(貸主・借主双方の合意により再契約することはできます)」
賃貸の契約で「定期借家契約」を使うのは、期間が決まっている場合が多い。
よくあるのが、海外転勤が3年間と決まっている。
だから、その間だけ家を貸す契約をしたい。
普通の「一般借家契約」だと契約が終わり、貸主が自分で住むと言っても手順を踏まないと結構揉めたりする。
だから、「契約」そのものがその期間で終わる「定期借家契約」はこんな場合にとっても便利。
テナントの定期借家契約
その他の例としては、「テナント」の契約を「定期借家契約」にすることも多い。
テナントも普通のアパートや家と同じで、普通借家契約にするとどんどん更新することが可能になる。
この場合、何が困るのか?
普通借家契約では、借主に貸主の都合で退去をしてもらうのが難しくなる。
と先ほど書いたが、これは「家」でも「テナント」でも同じなの。
例えば、そのテナントにしていたビルを壊して更地にして売りたい。
こんな場合は、どうなるのか?
さっき言ったように「貸主がどうしてもそこに住む必要がある」というような場合は、「正当な事由」にあたり、貸主からの中途解約が出来る。
だが、「テントビルを壊して更地にする」だけでは、「正当な事由」にあたらない。
老朽化していて危険である。などの理由が必要で「更地にして売りたい」という理由は「正当な事由」にあたらない。
つまり、貸主は、それ相応のお金、いわゆる「立退料」を払わないと借主に退去してもらえないのだ。
そんな契約が「普通借家契約」
賃貸借契約は、借主の権利が非常に強いと言われている。
だから「正当な事由」がないと貸主は途中解約が出来ないのだ。
そして、「正当な事由」があったとしても決まった手順を踏まないといけない。
契約期間満了の1年前~6カ月前に行うのが原則とされている。
これは、新しいところを探してねという「猶予期間」。
意外な契約の成立
契約って「貸してね」「いいよ」で成り立つ。
これを「諾成契約(だくせいけいやく)」という言うんだけど、「売ってね」「いいよ」で成り立つ。
契約書がないと契約にならない。
という訳じゃあ、全然ない。
口約束でも契約は成り立つ。
ただ、それを本当に「言った」かどうかは、口約束だと後からトラブルの元になる。
だから、「契約書」を交わすのだ。
今回は、「家」についての話。
土地だとどうなるのかはまた別の機会に。
「退去」についての相談はよくある。
今日のブログは、そんな相談をベースにして書いたもの。