各種の不動産査定サイトをご利用だと思いますが…
今日の営業の電話です。
「不動産工房ゆくはし様でも各種不動産査定サイトをご利用だと思いますが…」
「使ってません」
「はっ、えっ…」
「査定サイト使ってないです」
「…」
「なんか用ですか?」
「…あっ、いえ結構です。失礼いたしました」
ガチャン
この電話で気が付いたことは、一般的な不動産屋は、
普通に当たり前に不動産査定サイトを利用しているのだということと、
不動産査定サイトを全く利用しない弊社が異様なのだということです。
はてさて、
不動産査定サイトというのは業界的に二種類あって、
一方がオークション形式の一般の方からの査定依頼に対して、
応札するという形で売却か買うを決めるもの。
これ、現地も見ずに査定依頼を受け査定し、一番高い査定額を出した不動産会社が売却を引受ける、
そのようなシステムでオークション型不動産査定サイトは成り立っているのですが、
基本調査なしに、およその感覚で売却価格を決め査定という名の入札に応札して、
実情と合わないとんでもない価格で売却を引き受ける。
当然売れもせず、ネットをにぎわすだけの存在となる。
それって何がうれしいのでしょうか?
もう一つの不動産査定サイトは、
文字通りネットで検索して不動産売却価格を決めるというもの。
中にはAIを利用したものなどあり、不動産売却価格を判定してくれるようなのですが、
その資料となるデーターに問題があり、一つには固定資産税評価額を利用しているようです。
当然ながら固定資産税評価額というのは国が固定資産税を徴税するために設定した価格であり、
実際に売り買いすることを想定した価格ではないため、実勢価格との乖離があります。
東京など都市部では基本、固定資産税評価額は実勢価格より低いし、
行橋のような田舎では、固定資産税評価額の方が実勢価格より高いようです。
つまり査定に利用するデーターとして不十分です。
次に利用するのは国土交通省に登録されている売買実績のデーターですが、
このデーターは、
「気が向いた業者が気が向いた時に登録するが、ほとんどの業者は登録しない」
というトンデモデーターで、登録する義務もない上に、
その存在すら知らない不動産業者も多数いるなど、
理解不能なデーターになっております。
それでも都市部につきましては、豊富にデーターが存在するので、
まだましなのですが、少し地方になるともう全くまともなデーターなどありません。
つまり、査定システムがいかに優れていようとも、
元になるデーターに不備があるため査定サイトの結果は正しくありません。
オークションタイプの一般査定サイトも、売却価格を決める査定サイトも基本有料です。
この程度の不動産査定サイトをさも当たり前に
「各種不動産査定サイトをご利用ですよね?」
と聞いてくるということは、各社不動産会社は、
このような査定サイトを当たり前に利用しているということになります。
これはどういうことなのかというと、
実は一般的に不動産会社は不動産査定をすることができません。
「いくらぐらい」
でしか表現できないのです。
その部分が適当なので、
ずいぶん適当な査定結果の出る不動産査定サイトをお金を出して利用し、
ずいぶん適当なオークションタイプの査定サイトも利用するのです。
不動産工房ゆくはしで査定サイトを利用しない理由は、
「入札に勝てないから」
「調査に見合わないから」
「無駄なものに費用を払いたくないから」
の三つの理由からです。
不動産工房ゆくはしは、
シビアな査定を行うため売却査定額が低く、オークション形式の不動産査定には勝てません。
不動産工房ゆくはしの査定はある意味、不動産鑑定士の鑑定結果よりシビアかもしれません。
何故なら確実に売れる値段でしか出さないからです。
査定する場合も、現地を見ずに査定することはなく、
必ず現地確認の上査定を行います。
これって、一点ものの不動産では当たり前の作業ですが、やらない方が多いようです。
「この土地いくらぐらいやろうか?」
「だいたいでよければ○○万円ぐらいじゃないですか?」
「だいたいじゃなくてなんぼで売れるか聞きよる」
「それは今わかりません。調査後査定してみないと答えられません」
こういうお客様は、不動産工房ゆくはし以外の不動産屋に行きます。
そして売れなくて、何年か後に…
「この土地お宅で面倒見てくれんやろうか?」
これパターンです。
そもそもこういうお客様は、テレビの「なんでも鑑定団」出るのと同じような人で、
自分の持ち物に価値があると思い込んで査定を依頼しているので、
自分の思うような価格でなければ納得しません。
こういう人は、不動産鑑定士の鑑定結果にも納得しないものです。
もっともこういう人は高価な不動産鑑定の費用を出すのを嫌がりますけど…
つまりこういう人は、
「ただで」
「自分の思うような査定をする」
不動産会社が大好きなので、不動産工房ゆくはしではお付き合いしたい相手ではありません。
不動産査定はものすごくシビアなものなのです。