不動産投資と東京オリンピック

「不動産の投資にご興味ありませんか?」

こういう電話がよくかかります。

自分も不動産屋なのにです。

おもしろ半分に話を聞くと、

「現在は不動産バブルなので、

東京オリンピックまでは確実に値上がりしますので、

不動産投資のチャンスです」

「不動産バブルは、東京オリンピックのおかげなの?」

「はい」

「東京オリンピックが済んだらどうなるの?」

「…」

もう少し勉強してください。

不動産バブルの原因は、

史上最低金利だからです。

東京オリンピックなど関係ありません。

東京だけでなく、

名古屋や大阪、福岡など大都市と、

地方でも県庁所在地のみ不動産は値上がりしています。

しかし全体で見ると日本の不動産は値下がりを続けています。

現実には前のバブル期の半分以下になりました。

しかし一般的には、

「株とかの投資はよくわからないし怖いから」

という心理と、

「不動産なら持っていてもなにかに使えるし、

値下がりしないから」

という心理によって、

「不動産幻想」

は続いているので、

銀行に預けていてもしょうがないお金が、

動いているのが原因の一つです。

あと、

不動産は放置できるので、

サラリーマンの投資に向いていると錯覚するためです。

マンションやアパートなどの賃貸物件に投資すると、

管理を不動産会社に任せておけば放置できます。

「30年家賃保証」

という甘い言葉に踊ったりします。

これ、

家賃保証とは確かなんですが、

「いくらで」

とは契約書に書いてないし、

「家賃の保証は10年毎の見直し」

としっかりと書いてあって、

入居率が悪いと必然的に解約するように仕向けています。

これは競売情報を見ればわかります。

現在どこの都市の競売情報でも1Kや1Rのマンション、

いわゆる投資用マンションの競売がいっぱい出ています。

これ、

入居率が悪くローンが払えなくなった物件です。

購入者は副業ができない職種で、

そこそこ所得が高い職業の方が目立ちます。

「じゃあ、競売物件を現金で買えばいいじゃん」

うーん…

居住用の物件ですので、

入居者さえ確保できれば赤字であっても競売にはかかりません。

金利だけでも支払っていれば銀行は競売にかけません。

それすら不可能なほど入居が確保できない物件なのです。

つまり、

「誰も借りない部屋」

だから競売にかかるのです。

理由はいろいろあると思います。

事故物件だったり、

ガラの悪い人が出入りしていたり、

スラム化していたり。

投資用物件に手を出す方の大半は、

こういうリスクを考慮していません。

「じゃあ本屋で売っている、

”不動産投資で成功しました”

って嘘なの?」

嘘かどうかはわかりませんが…

あれ、自費出版がほとんどなんです。

自分で書いて自分で売っている本です。

一般論でいうと

「ギャンブラーは負けた時の話は絶対にしない、

他人には勝ったときの自慢だけ」

ということを考えるとわかると思います。

ちなみに、

「東京オリンピックで」

というのは嘘です。

オリンピックは東京という地域限定のお祭りで、

1兆6千億円の国家予算と、

東京都の税収の持ち出しに過ぎません。

日本の景気が良くなるわけがありませんし、

2022年に生産緑地が開放され東京都だけで3329.8ヘクタールの

生産緑地が宅地化される可能性があります。

空き家問題は東京都も例外ではなく、

東京の地価は暴落するとまで言われています。

逆に、

「都内で一戸建て」

というのは、

あと5年程度待てば叶う夢かもしれません。